気ままな 汽車好き

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『WestExpress銀河』の旅 <Ⅸ> ばたでん デハニ

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◇ 高架駅の出雲市駅に戸惑う ◇

  “すいてつ” が此処を訪れるのは、大社線廃止の時以来。煉瓦造りの機関車庫に煙を漂わせるC57は、実に感動的だった。大社駅は最後まで腕木式信号機だったので、バック運転のSL大社号との絡みを取ろうと、ファンが鈴なりになったものだ。
 小 “すいてつ” は寮から直接『WestExpress銀河』に乗車しており、家へ持ち帰る荷物が山なり。コインロッカーへ押し込んだのだが、此れが乗り換える電鉄出雲市とは逆方向。かなりの距離を右往左往させられた。電鉄出雲市駅って、もっと近かったと思うんだけど・・・
 ツアーにパック(3択)されている引換券を窓口に手渡して、もらった「一畑電車フリー乗車券」はこんなの。台湾鉄路の1日乗車券とも引き換え出来るなんて、めっちゃお得(行かへんけど)。
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 定価¥1,600だが往路も『WestExpress銀河』に乗車するので時間に制約があり、出雲大社を観光するとなると電鉄出雲市出雲大社間しか使用出来ない。つまり¥1,000分しか使用出来なかったのは ちょっと心残り(ケチな関西人の心境)。
 えらく立派になった電鉄出雲市駅のホームに入ると、えっ!新車? 最近雑誌も読んでないので、一畑電車に新造車が投入されているなんて驚きだった。
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 車内はセミクロスシート(?)で、外観からも判断出来るように3扉化可能な構成。なんでもJR四国7000系の設計情報の無償提供を受け、足廻りはJR西日本225系と同じなんだとか(設計最高速度130km/h!)

川跡駅にて ◇

 (一部の)鉄道ファンのマナーの悪さがやり玉に挙げられて久しいが、こんなコトしておいて良くそんなコトが言えたもんだと思う。堂々と黄線を大きくはみ出て記念撮影 !? ふざけるな!と言いたい。(接近する電車をバックに撮ろうとしている)
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 電車は川跡駅行きだったので、川跡駅で乗換となる。乗車したのは東急1000系の改造車。改造費用を最小限にしたかったのだろう、何とも凄まじいスタイルをしている。連結器上の長く伸びたステップがアンチクライマーのようで、古い様式が紛れ込んでいるかの如し。
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 写真自体は往路に撮ったもの。京王帝都の5000系改造の2100系は黄色だったはず。デハニの色をコーポレートカラーとしたようだ。(但しデハニよりは明るい塗色)
 写真下は出雲大社前駅の様子(往路)。従来の屋根を一部残し、ホームは改良されているように見える。あれ? 傍に何か気になるものが・・・

◇ デハニ53 ◇

 出雲大社駅の片隅には、保存車輌(可動なハズ)のデハニ53が留置されている。此れは嬉しいサービス、車庫訪問をしなくて済む。
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 前回訪問時(平成2年)の時点では既に予備車的な扱いだったと思うが、その時に乗った電車が引退(何に乗ったっけ?)し、デハニの方が生き残っているのは嬉しい誤算かな。
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 もう一輛残るデハニ53の方は、通年で運転体験車輌として活躍している。此れは是非体験してみたい。
 展示の状態から判断するに、どうも車内に入れるような様子。果たして、駅を出て左へ行ってみると・・・あった! 何と見学フリー! でもこれ、駅で見学記念券(≒入場券)を購入するような方式にした方がエエンとちゃうやろか? 電車利用者のみフリーにしておいて。
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 外からの写真と見比べて貰うと判るが、荷物室の扉と乗降扉が1箇所の戸袋へ収まるようになっている。なので荷物室の扉は一段奥まっている。室内も実に味わい深い造り。窓は下降窓らしい。そして阪急電車で親しんだ懐かしい鎧戸がここにもある。
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 阪急電車の窓はカーテンでは無くアルミ製の鎧戸が長く使われていたが、1000系列の鎧戸は確か明るい茶色だった。空ける・閉めるしか出来ない鎧戸は、眺望性も考慮するとカーテンには敵わないか・・・
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 車内はお座敷電車に改造されていたはずだが、復元されているのだろう。他の観光客が入ってこないうちに、素早く見学を済ませたが、この重厚な電車からは、なかなか立ち去り難いものが・・・

◇ 近代化産業遺産 ◇

 見るべきものはデハニだけでは無い。出雲大社前駅の駅舎自体が登録有形文化財となっている。私鉄らしい、好ましいデザイン。コンパクトなのでレイアウトに置きたい人は多そう。(モデルファンの事は “何鉄” と呼ぶのだろう?)
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 出来れば「大社線旧大社駅」も再訪してみたかったが、かなりの距離があり時間の制約がある中では無理な注文だった。

 ⇒ 次篇に続く